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肩の骨はどのように動くか? その3 鎖骨と上腕骨

肩の骨には、鎖骨・肩甲骨・上腕骨があります。

それらがどのように動くのかを、3回に分けて説明します。

1回目は、鎖骨と肩甲骨の動きを説明しました。

2回目は、肩甲骨と上腕骨の動きを説明しました。

続いて3回目は、鎖骨と上腕骨の動きを説明します。

 

私たちは、鎖骨と上腕骨を意図的に動かすことはできます。

しかし、肩甲骨はどうでしょうか?

鎖骨と上腕骨を動かさずに、肩甲骨だけを動かすのはむずかしいのではないでしょうか?

肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉、鎖骨と上腕骨をつなぐ筋肉はありますが、鎖骨と肩甲骨をつなぐ筋肉はありません。そんなことも肩甲骨が動かしにくい原因になっているのかもしれません。

鎖骨の動きに合わせて、あるいは上腕骨の動きに合わせて、私たちは無意識に肩甲骨を動かしています。

意図的に動かせない肩甲骨を、施術で動かしてあげると、肩こりが急に改善することもあります。

肩甲骨周辺に肩こりが発生しやすいのは、意識的に肩甲骨が動かしにくいことに原因があるのかもしれません。

 

いっぽう、鎖骨と上腕骨を動かすことはむずかしくありません。

鎖骨と上腕骨を同じ方向に動かすと、上腕骨を大きく動かすことになります。

鎖骨と上腕骨を反対の方向に動かすと、肩先(肩峰部)をコンパクトに動かすことになります。

他にも、鎖骨と上腕骨の動きの組み合わせで、さまざまな肩の動きができます。

 

肩を上げるといっても、肩先を上げるのと、腕を上げるのでは、使う筋肉が違います。

ある筋肉を伸ばしたいとき、どの骨をどのように動かすと伸ばせるのかを理解しておくことは、肩こりなどの症状を改善していくのにとても役に立ちます。

 

●鎖骨と上腕骨を同じ方向へ動かす例

例えば、腕を水平よりもさらに上に上げるためには、鎖骨・肩甲骨・上腕骨が一緒に動く必要があります。

上腕骨を真上に上げるためには、鎖骨は挙上・伸展し、さらに後ろにねじれます(後方回旋)。肩甲骨は挙上・上方回旋し、さらに後ろに傾きます(後傾)。上腕骨は屈曲し、外にねじれます(外旋)。

さらに動かすためには、背骨の動きが必要になります。

もう少し内側に手を伸ばすためには、背骨を腕と反対側に倒さなければなりません。

もう少し後方に手を伸ばすためには、背骨を後方にそらさなければなりません。

 

上腕骨と同じ方向への鎖骨の動きが加わると、腕の動きがより広い範囲になります。

腕を下げて内側に閉じる動き:鎖骨を下制+上腕骨を内転(肩甲骨は下方回旋)

腕を水平に上げて前に閉じる動き:鎖骨を屈曲+上腕骨を水平屈曲(肩甲骨は外転)説明図右

腕を水平に上げて後ろに引く動き:鎖骨を伸展+上腕骨を水平伸展(肩甲骨は内転)説明図左

●鎖骨と上腕骨を反対の方向へ動かす例

肩先を突き上げるような動き:鎖骨を挙上+上腕骨を内転

肩先を前に突き出すような動き:鎖骨を屈曲+上腕骨を伸展 説明図右

肩先を後ろに引くような動作:鎖骨を伸展+上腕骨を屈曲 説明図左

肩先を下げて腕を広げる動作:鎖骨を下制+上腕骨を外転

 

このような動かし方をしたほうが、よりしっかり伸ばしたり、縮めたりすることができる筋肉も少なくありません。

 

次は、肩にどのような筋肉があるかを説明します。(こちらをクリック)