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肩の骨はどのように動くか? その2 肩甲骨と上腕骨

肩の骨には、鎖骨・肩甲骨・上腕骨があります。

それらがどのように動くのかを、3回に分けて説明します。

続いて2回目は、肩甲骨と上腕骨の動きを説明します。

肩甲骨は上腕骨とも連動して動きます。

鎖骨を固定したまま上腕骨を外に開くように上げると(外転)、肩甲骨も肩鎖関節を中心に回転します(上方回旋)。

肩甲骨は、肩鎖関節の外側が肩峰(けんぽう)と呼ばれる突起になっています。肩峰の下に関節のくぼみ(関節窩(かんせつか))があり、このくぼみに上腕骨の骨頭がはまります。これが肩甲上腕関節です。

関節窩の内側はいったんくびれて、そこから扇状に広がります。

肩甲骨のくびれたところを頚部、扇状に広がったところを体部と呼びます。上腕を外に上げたときに、肩鎖関節を支点にして、関節窩は上を向き、体部は下に下がります。腕を上げると、肩甲骨の体部は下がるということにご注意ください。

上腕骨を水平に90度まで上げると、肩鎖関節が30度・肩甲上腕関節が60度動きます。このように、上腕骨を動かしたとき、上腕骨だけ動くのでなく、上腕骨と肩甲骨が2対1の割合で動きます。このような仕組みを、肩甲上腕リズムと呼びます。

 

反対に、鎖骨を固定したまま、後ろに回した手でお尻をふくような動作をしたとします。

上腕骨は、垂直に腕を下ろしたときよりもさらに内側に入ります。この上腕骨の動きを内転と呼びます。

このとき上腕骨だけでなく、肩甲骨も一緒に動きます。肩甲骨は肩鎖関節を支点にして、関節窩が下を向き、体部が上に上がる動作をします。この肩甲骨の動きを下方回旋と呼びます。

上腕骨を前に上げる(屈曲)と、肩甲骨も上方回旋します。

上腕骨を後ろに上げる(伸展)と、肩甲骨も下方回旋します。

 

上腕骨を水平に屈曲した状態で、内に閉じる運動を水平屈曲と呼びます。

上腕骨を水平に屈曲した状態で、外に開く運動を水平伸展と呼びます。

上腕骨を下げたまま内にねじれば、肩甲骨も内にねじれます(内旋)。肩甲骨が内旋すると、肩甲骨の体部が胸郭から浮き上がります。

多少、浮き上がるのが正常なのですが、浮き上がらないときは「肩甲骨はがし」という肩甲骨を浮き上がらせる施術がされる場合もあります。ただし、浮き上がれば浮き上がるほど良いというものではありません。異常に浮き上がる状態は翼状肩甲(よくじょうけんこう)といって、腕を前に上げるのがむずかしくなることもあります。

上腕骨を外にねじれば、肩甲骨はわずかに外にねじれます(外旋)。

ただし、胸郭が肩甲骨の動きをじゃましますから、外にねじることができる角度は、内にねじることができる角度よりも小さくなります。

 

続いて、鎖骨と上腕骨の動きについて説明します。こちらをクリック