· 

肩の骨はどのように動くか? その1 上肢帯

肩の骨には、鎖骨・肩甲骨・上腕骨があります。

それらがどのように動くのかを、3回に分けて説明します。

まず1回目は、鎖骨と肩甲骨を合わせた上肢帯の動きから説明します。

鎖骨(赤い部分)は、胸鎖関節を支点にして、前に20度、後ろに20度動かすことができます。前に動かすのを屈曲、後ろに動かすのを伸展と呼びます(角度はおおむねの目安です)。

肩甲骨(藤色の部分)も、鎖骨が屈曲すると胸郭の上をすべるように前外方に移動します。この動きを外転と呼びます。

鎖骨が伸展すると、肩甲骨も胸郭の上をすべるように内側に移動します。この動作を内転と呼びます。

上肢帯が、前に屈曲した姿勢になると「巻き肩」と呼ばれます。

また、鎖骨は、胸鎖関節を支点にして、上に30度、下に10度動かすことができます。

肩甲骨(藤色の部分)も、鎖骨が上に移動すると、胸郭の上をすべるように上方に移動します。

鎖骨が下に移動すると、肩甲骨も胸郭の上をすべるように下に移動します。

鎖骨・肩甲骨ともに、上に上げる動作を挙上、下に下げる動作を下制と呼びます。

上肢帯が挙上した姿勢になると「いかり肩」、下制した姿勢になると「なで肩」と呼ばれます。

 

鎖骨は、肩甲骨や上腕骨を体幹から遠ざけるツッパリ棒のような役目をしています。鎖骨があるお陰で、上肢の可動閾が大きくなります。

鎖骨があるヒト、サルやネズミのような哺乳類は、手または前足で上手に物をつかむことができます。一方、他の多くの哺乳類は鎖骨が退化してなくなっており、前足を後ろ足と同じように歩いたり走ったりすることに使っています。ネコは、鎖骨があるけれど体幹に固定はされていない中間のタイプです。

 

次に、肩甲骨と上腕骨の動きを説明します。(こちらをクリック)