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肩にはどういう筋肉があるか ①僧帽筋

肩にはどういう筋肉があるのか、起始と停止はどこか、どのようなはたらきをするかを説明します。

 

肩こりのときに、伸びすぎたり縮みすぎたりする筋肉は次の5つです。

 

僧帽筋(そうぼうきん)

肩甲挙筋(けんこうきょきん)

菱形筋(りょうけいきん)

棘上筋(きょくじょうきん)

肩甲舌骨筋(けんこうぜっこつきん)

 

今回は、肩こりを起こす頻度が高い僧帽筋を取り上げます。

僧帽筋

●起始と停止

起始と停止は説明図で確認していただくほうがわかりやすいと思います。

起始(筋肉が始まるところ):最上項線(さいじょうこうせん)、外後頭隆起(がいこうとうりゅうき)、項靭帯(こうじんたい)、第7頚椎~第12胸椎の棘突起(きょくとっき)と棘上靭帯(きょくじょうじんたい)

停止(筋肉が停まるところ):肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側3分の1

 

 

 

●作用(はたらき)

腰よりも上の脊椎の後ろの出っ張り(棘突起)と後頭部から始まって、肩甲骨や鎖骨に着くので、肩を後ろに引く筋肉であるとともに、肩甲骨を上方回旋させる筋肉と言えます。また、後頭部と背骨を肩の方に引き寄せるはたらきもあります。片側の僧帽筋が収縮すると、背骨は反対側に回旋します(右僧帽筋が縮むと顔は左を向く)。両側の僧帽筋が収縮すると、お辞儀をするように、頭を下げることになります。

僧帽筋は上部繊維、中部繊維、下部繊維に分けられます。

上部繊維は、後頭部と上部頚椎から始まって、鎖骨の外側3分の1に着きます。収縮すると、鎖骨や肩峰を上に挙げながら、後方に引きます。

中部繊維は、下部頚椎と上部胸椎から始まって、肩峰付近に着きます。肩峰を後ろに引くはたらきをします。

下部繊維は、中部胸椎と下部胸椎から始まって、肩甲棘に着きます。肩甲骨の体部を下げるはたらきをします。

僧帽筋が収縮すると、鎖骨は上がり、肩甲骨は肩鎖関節を中心にして上方回旋運動をすることになります。

●コントラクト(縮め方)

僧帽筋を縮めたければ、鎖骨と肩峰を上げ、肩甲骨体部を下げ、後方に引きます。さらに、上部繊維は、頭部・頚部を前屈し、後頭部を肩の方へ近づけるように回旋しながら倒します。中部繊維は胸椎上部を前にねじります。下部繊維は胸椎下部を前にねじりながら上げます。

 

●ストレッチ(伸ばし方)

僧帽筋を伸ばしたければ、鎖骨と肩峰を下げて前に押し、体部は上に挙げて前に押します。さらに、上部繊維は、頭と頚部を後ろに倒しながら肩と反対側に遠ざけ、顔が肩の方を向くように背骨をねじります。中部繊維は、胸郭上部を後方にねじります。下部繊維は胸郭下部を後方にねじりながら下げます。

 

引き続き、肩にある筋肉について説明します。次回は肩甲挙筋です。(こちらをクリック)